サタデーファクトリーが運営する公式オンラインショップです
配送について
全ての商品はサタデーファクトリーが設計製作しています。大きさや重さに幅のある製作物ですので、商品ごとに配送方法や料金を設定しています。商品ページからご確認いただけます。
運営企業サイト

商品紹介ブログ

2021/02/03 09:15





展示会ではプランクリップのサタデーファクトリー。でも一輪挿しや石のプレートがロングセラーだったり。幼稚園では「おもちゃ屋さーん」と呼ばれて普通に「はーい」と返事する自分にびっくりです。しかしなぜ「おもちゃ」まで作っているのか、綿密に練り上げられたビジネスプラン、ターゲティングにポジショニング、莫大な費用を投じる市場調査の一端をご紹介いたします。

サタデーファクトリーを始めた年に子どもが生まれました。木を加工して、鉄を削って、石を切って、インテリアを製作しながら数年が経ち、私は子どもと遊ぶようになりました。遊ぶとコロコロ笑ってくれてとても楽しかったです。でも、どうにも気になることがありました。それは、絵本を読んであげている私と彼、おもちゃで遊んであげている私と彼、という関係です。どういうわけか「〇〇してあげている」という事に隔たりみたいなものを感じました。共に遊ぶバイブスが足りないというか。レゴブロックでお互いのヘンテコ造形を称えあっているときには感じない、その隔たりを減らすような気持ちでおもちゃの試作が始まりました。もうすぐ彼が3歳になるころです。

 

ビー玉転がしは私も彼も大好きです。でも私は同じことを繰り返すのがすこし苦手。私はブロックが好きですが、ズレやすく崩れやすい積み木はあまり好きではありません。作ったものは棚にでも置いてしばらく鑑賞したい派なのです。ブロックは好きですが、グリッドやモジュールは融通がきかないなと感じることが多く、あまり好きではありません。スケッチブックも方眼に引きずられる気がしてなんとなく無地を使用してきました。そんな釈然としない私の好みをひとさじ、もうひとさじだけ、と加えながらの試作です。

マグネットでくっつくビー玉転がしのパーツを端材で試作したらすぐに持ち帰り、ちいさな同僚と遊ぶ日々。今日は試作品がないのかと同僚に涙されたりと、それはもう緊張感のある開発の日々です。冷蔵庫の前に陣取って、試作品のパーツを取り付けます。パーツを調整するどうこうの前に、3秒に一度は容赦なく散らばるビー玉を探す苦労。正直なところ全く楽しくありませんでした。もうビー玉を探したくない、、、出来れば遊ばないでほしいと願いだす始末です。そして冷蔵庫のドアが開かれる度に中断するベンチャーな2人。少ない開発予算でも環境を整えるべく、市販のホワイトボードを購入しました。集中できる環境を求め、我々は冷蔵庫からリビングへと活動エリアを広げたのです。

ホワイトボードを壁に立てかけて、試作品のパーツを取り付けます。力加減がダイナミックなちいさな同僚は、数日でホワイトボードを湾曲させ始めました。正直なところこれは予想外でした。市販のホワイトボードは背面が厚めの段ボール紙だったからです。徐々に細いフレームは外れだし、タッカーという針金が飛び出してきました。危ないので外れた部分にテープをぐるぐる巻いて補修し、微妙に湾曲して壁にもたれかかるやつれたホワイトボード。残念なインテリアの完成です。字を書くのに適したホワイトボードは、字を書くためのものだと思いました。ホワイトボードの小さなフチに蹴りだされ、さらに勢いを増して飛び散るビー玉。フチが小さいからこんな目に合うんだと、小さいフチのせいだとフローリングを這いつくばる日々。フチが大きくて、文字を書くには不釣り合いなほど丈夫なボードを切望するようになります。これが専用ボードを製作するに至ったユーザーの不満です。そして、木目調のフローリングに散らばるビー玉を一番探しやすいのは赤でも青でもなく「白」だ!という確信から製品のビー玉は白にしています。時々パーツだけで販売しないのかとお話を頂くのですが、ビー玉を探すあの地獄の日々を味わうのはもう、私だけで充分だと思っています。

当時はマグネットも色々なタイプを両面テープや接着剤で付けただけでしたので、すぐ取れる・すぐはがれる・すぐめくれる。そもそも、顔はおっとりめなのに扱いが乱暴なんです。そういうモノだからね、常識的にね、なんて空気を読んだ慈悲・手加減が全くありません。しかしマグネットが外れてくる事に関しては、安全第一の観点からも、だらしないものづくり感からも我慢がならず、特に本気を出しています。ネジやビスで機械的に固定すること、その金属が回転しないように接着剤を使用すること、そもそもマグネットに力が加わりにくくなるように埋め込むこと、その穴とマグネットも接着してしまう事。そしてシールまで付属しています。余談ですが、このシールは消耗品の部類に入ると思います。無くても良いのではないかとよく議題にあがるシールですが、文房具として市販されている13mmのマルシールを代用できるようにしております。クリエイターセットのジャンプに使用するゴムも、市販の輪ゴムで問題ございません。お惣菜についていた赤いかわいい輪ゴムが、冷蔵庫の脇に綺麗にストックされていたのを拝借した事を起源として開発されています。こういった細かな部分は、開発初期の研究環境に由来する感覚が活かされています。消耗品の部類に入るものは入手しやすく代用できるものにする。ながく遊んでいただくために大切な事だと思っています。

少し難しい事から決まっていることもあります。ビー玉を転がそうと考えると普通はレールの形を考えます。私もレールの形を試作していました。しかしビー玉が次のレールに落下すると、落ちてくるビー玉の勢いでパーツが落下してしまいます。落下を繰り返すと、細い部分が欠けたり割れて来たり。ならばと磁力を強めると、ちいさな同僚はパーツの着脱に苦労していて、ボードごと動いてしまったりとうまくいきません。磁力を強めるには限度がある事を学びつつ、ビー玉が落ちてパーツが落ちる様子を観察していると、ある事に気づきました。パーツは回転するようにビー玉にもぎ取られていたのです。インパクトとモーメントです。ビー玉がボードから離れるほどその力は掛け算的に大きくなるため、ビー玉の軌道を安定できないレールの形状は根本的に間違っていると感じました。そのころ3歳になっていた彼は、重力でビー玉が転がっていく仕組みは感覚的に理解しているようでした。全体的には上手く転がりそうな、とても上手なパーツのレイアウトなのに、溝のないレールの裏側で取り付けられている一部分のために絶対うまくいかないという、くやしい状況がしばらく続きました。その様子は、パーツに表と裏を作った人が悪いよね。あ、作ったの私だね。と思わざるを得ませんでした。パーツの微妙な形状の違いを理解するより、なんとなく転がるよね?という感覚的な理解の方が圧倒的に早いようでした。これは見ていてとても意外な事でした。力学的に欠陥のあるパーツを何度もボードに付け、理解の範囲を超えた理由でうまくいかないという経験は、ただつまらない経験だと思います。そんなことから表裏がなくてビー玉の軌道が安定し、ビー玉の衝撃がパーツの回転に影響しにくい台形断面が生まれました。たとえ欠けても機能を失わない、子育てサバイバル目線のタフ仕様です。台形ではない改善もできるため、その形状は共同開発をするシリーズ品の多様性へと繋がっています。

形状やボードの仕様ができてくるころ、物の名前や色の名前に興味があったな思いました。そこでパーツに色を塗ることに。「赤のマルいいね」とパーツを呼べて、具体的に「いいね」できるように。台所からでも言葉でアドバイスができるように、塗り分ける色とパーツの配分を工夫しています。「なにー?青の長い方はー?」と言えばパーツが特定されるため、手が離せない台所からでもコミュニケーションをとりやすくなっています。遠隔操作性のおまけが付いているカラーは、子育てアシスト機能に優れています。

観察して試作を続けてきたおもちゃですが、発売してからも改良は続いています。クリエイターセットに含まれるロープの吊り橋も以前はマルではありませんでしたし、専用ボードに付属するサポートなんて発売当初は付属していませんでした。でもサポートがあった方が良いのかなと思いお値段そのままでポンと追加したり、今は販売していないトンネルが続くメトロというパーツもありました。

そうこうしているうちに、ちいさな同僚は5歳になり、もうすぐ2歳になるルーキーの指導員です。傷がつき凹んでいるパーツには、クレヨンで塗ろうと試みた痕が。図形遊びが始まりそうな娘と遊んでくれる頼りになる息子は、試行錯誤と遊びの境界がすこし曖昧なのだろうと思います。先日友人についての解説を聞いていた際、「あいつは攻撃タイプ」と。具体的にはかけっこが早いそうです。「じゃ自分は何タイプなの?」と聞くと「おれ?工作タイプ」と。え?守備タイプとかじゃなく。

一緒に遊ぶバイブスみたいなものを共有したくて作ったおもちゃは、観察と調整を繰り返して今の状態にあります。その過程では苦い思いもありました。一緒に遊んで、いえ、研究開発していると、やたらと集中しているときがあります。私も遊んでいたのでついパーツを動かしてしまい、とても怒られたことがあります。「いましゅうちゅうちゅうだから!」と。仕事でゾーンに入っているときは真剣勝負。大人も子どもも同じようですが、大人にもちゃんと貸して欲しいと思います。だから、おもちゃというよりも家なかコンテンツなインテリアだと思って製作しています。

 

サタデーファクトリーで販売する多岐に渡る製品はオリジナルです。無ければ作りますけれど、あればラッキー買わせて頂く、消費者な製作所がサタデーファクトリーです。改めて大げさに言えば、おもちゃという歴史ある業界へとサタデーファクトリーは新規参入しています。しっかりと時間をかけて参入の事業計画を練るかわりに、膨大な遊びの時間を共有しています。サタデーファクトリーの自分と、家族と暮らしている私は同じ人間です。ものづくりの集う先を少し変えれば、そこには知らなかった世界がすぐ傍らに広がっていて、これまでの活動ではさほど縁のなかった人にまで関係していくことができます。大きな変化を迫られている大変な時代の、その最後尾を走っているような気もするのですが、シンプルで融通の利く物作りにはしなやかな強さがあると信じています。

アナログで革新的なものづくりを目指し、そこへ多様な業種の物語を添えられるよう工夫して参りたいと思います。

今後ともごひいきのほど宜しくお願い申し上げます。


※ブログ中の画像で使用しているおもちゃの仕様は現在の商品とは一部異なります。

Saturday Factory
埼玉県飯能市上赤工275-1 B1棟2号
TEL: 090-4000-7854
E-mail:studio@saturdayfactory.com