サタデーファクトリーの公式オンラインショップです

商品紹介ブログ

2022/05/17 13:52


伐採されたヒメシャラと廃棄ベアリングのクラフテッドモビール_全高2.7m(台座部分70cmを含む) 


落葉した朴葉と小石、山鳩の尾羽と檜の樹冠、罠猟による鹿の角、里山の木の枝、町工場の金属片、周辺の地層から産出する石灰岩、など 


もくもくと1つずつ、手で作り続けているモビールの最新作は全て一点物のアートピース。クラフテッドモビールは、植物や一度価値を失ったものの狭義なバランスを取り直して製作するインテリア、キネティックアートです。

最近の製作物はInstagram @crafted_mobile からご覧頂けます。


サタデーファクトリーの所在地_Google

街から国立公園へと移り変わる中山間地にあるサタデーファクトリーのスタジオ。地図の右側に広がる関東平野には多くの町工場が点在し、地図左側に広がる山間部では林業が営まれ里山の風景が残されています。山に植林された杉や檜は用材として、里山の風景となっている樹木はもともと道具の素材や薪燃料、落葉から堆肥を得るなどの目的で育てられてきたものです。樹木が成長し更新される循環を人が暮らしに利用してきた結果の風景ですが、流通の高度化や化石燃料の普及など時代の変遷により機能が失われつつあります。山に人が入る目的が薄れた結果、山に暮らす動物と里に暮らす人間の緩衝帯がへり、対処療法としての側面を持った猟を行う必要性も出てきました。町工場の多くが設立された昭和期から製造業の環境も変化を続け、自社で商品を開発し販売を試みる流れも活発になってきました。


サタデーファクトリーのご近所の風景_枝のもつ造形、小さな畑に設置された手作りの柵など

懐古趣味的に里山の風景が持っていた機能や町工場を賛美するつもりはないのですが、大量に作って長距離を運ぶ経済的な合理性と対局にある風景のように思えます。街なかに点在する生産性を持った町工場は高機能で人が暮らす消費地にも近く、それは人が暮らす里山に用途を持って植えられてきた樹木から見える未来性と同じような位置関係です。


左_風に吹かれて飛んできた絶妙な里山の枝
右_町工場で緩衝材として長年使われ稀有な質感を得たアルミ板

まだSDGsのバッチが発売されていない頃、サタデーファクトリーは本来の役目を終えた素材を用いてインテリアを製作してきました。専門業から生じる産業廃棄物、廃材です。石材の流通過程でどうしても一定の割合で割れて廃棄となる石、梱包資材として海を渡って役目を終えるクレート木材、これらを石屋と大工の隙間時間を繋ぎ合わせ、さまざまなインテリアとして再構築してきました。


割れた器を継ぐ金継ぎを転用した「継ぎ石と解体材のテーブル_ブルータス」*参考価格25万_soldout

素材として見立てた廃材は消費地の近傍で生まれ、廃材が生まれる専門業には加工技術もあることに着目し、素材・技術・時間を合理的に二次利用してきました。使う場所の近傍で素材の生産や加工がされている里山や町工場のメカニズムと同じです。


里山に自生する植物やドライフラワーと廃棄材のバランスを再定義したクラフテッドモビール

環境への影響も解明されてきた事で、バランスを取りながら意義を生み出し価値を変化させる必要が生じているのはどの業界でもきっと同じことです。自然が生み出すものや廃棄されるものに目を向け、バランスを取り直すことで意義や価値を生み出すことができるとすれば、それは新たな調和を目指す希望のように思います。


左_私の暮らしから出る素材を用いたクラフテッドモビール_2022展示会
右_庭の剪定で生じたミツバツツジ_全高1.6m

バランスを取り直し新たな調和を目指すことは他人事ではありません。商品を製造して販売を行うサタデーファクトリーは当事者です。アートピース製作の過程で得られる知見はプロダクトへと還元し、消費地に近い国内の町工場で生産を行っています。できることからできる限り最速で。時々アートも製作して参りたいと思っております。今後ともご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。

クラフテッドモビール_新作はこちらからご覧頂けます。


風にそよぐ一輪挿しシリーズ_国内でバネを製造する町工場の技術転用によって製造されている_2,970〜
https://satdfactory.theshop.jp/categories/4224752


Try&Rolly_マグネットxビー玉転がし®︎_地域で生産される杉・檜を用いた知育玩具。_13,200〜
https://satdfactory.theshop.jp/items/22370856


旅するおもちゃトラベルトイ_パズルブロック_厚さ2cmのハガキ缶に収納できる檜の間伐材ブロック_8,580
https://satdfactory.theshop.jp/items/26237743


日経新聞のマーケティングに特化した歴史ある専門誌、日経MJのデザイン欄で代表の小田切と共にクラフテッドモビールをご紹介いただきました。バランスを取り直し新たな調和を実現することは簡単なことではありませんが、ある目的を終えた物質のバランスを取り直すことで、新たな価値を見出していただけるのであれば、それは希望なのではないかと思っています。